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三井物産の就職内定を辞退してプロ野球へ
京都大学から初めてプロ野球球団にドラフト指名された選手については皆さんニュースで聞いたことがあるでしょう。
田中英祐さん 京都大から初めてプロ野球ドラフト会議で指名された
なんでも三井物産の就職内定を辞退してプロ野球に行っちゃうとか・・・
これを惜しいと思うか、すごーいと思うかはあなたの価値観次第ですな。
力の入れ方は勉強が7割、野球が3割
そんな田中投手のインタビュー記事が毎日新聞に出ていました。
受験生、特に再来年以降の受験生には肝に銘じてほしいことが満載でしたので、旬な話題のうちに紹介しておきます。
全文は毎日新聞記事で読んでください。ここでは受験生に知っておいてほしいことを抜粋して紹介します。京都大学受験に際しての高校時代の話ですね。
2014年12月01日 毎日新聞
ロッテから2位指名の京都大4年・田中英祐さん「やる気があれば追いつける」力の入れ方も、勉強が7割、野球が3割。野球部は、あくまで部活の一環という位置付けで、授業のあと1時間半ほど練習。自主練習もせず、その後は受験勉強をしていました。
ただ、時間を有効に使うため、宿題はできるだけ昼休みに終わらせ、帰宅してからはやりたい勉強をしていました。
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引退までは基礎勉強しかしていませんでした。学校からもそれでいいといわれ、学校のプリントや一通り網羅した基礎的な参考書、問題集などを解いていました。
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暗記は得意やと思います。コツはアウトプット。赤いシートとペンで単語を隠しながら、文章の流れで空白を言えるようにしたり、通学路で自転車をこぎながら全部流れで言ってみる。日本史なら「何年になに、その後になにがあって」というふうに。覚えたことを思い出す作業の方をちゃんとやっていた気がします。
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センター試験のあとは1日9時間ぐらい勉強しました。先輩から、先にやると「やることなくなるで」といわれて残していた赤本を、テスト形式にして京大理科3時間を3セット。ばっと3時間解いて採点して、休んでまた解く。
テストが始まったらもう解くしかないと自分に課しました。一通り終わると、青本をやりました。
「しんどー(しんどく)」なってきたら、暗記科目に切り替え、アウトプットしてきちんと言えたらすっきりする。「あー」とか「うー」とか言いながら。それが息抜きでもありました。あと鏡の前で20分ぐらいシャドーピッチングをしたり。
いかがでしょうかね。
「やる気があれば追いつける」は注釈つきです
この記事の題は「やる気があれば追いつける」となっています。
確かにそうです、やる気さえあれば!
ただストロング宮迫的にはここには注釈がつく。
なにもしていない「0」の状態からでは、やる気があっても「追いつけない」可能性が高いってことです。
田中投手は部活もほどほどに「受験勉強をして」いたんです。「時間を有効に使うため、宿題はできるだけ昼休みに終わらせ、帰宅してからはやりたい勉強」をしていたんです。加えて「引退までは基礎勉強しかしていませんでした」。
You understand?
なんだか「基礎しかやっていませんでした」ってショボイ感じがするけれど、「基礎はやってたんかい!」ってなもんです。
でも当然でしょうな。
なにもしてなくて、ある時やる気になって勉強を始めたわけじゃないってことです。「何を勉強したいとか、どこの野球部で野球をしたいという目標はなかった」けれど基礎の勉強はしていたんです。
「学校からもそれでいいといわれ、学校のプリントや一通り網羅した基礎的な参考書、問題集などを解いていました」これだけのことは最低限やっていた上で、「やる気があれば追いつける」です。
そこを勘違いしないでもらいたいですね。
→ 【お母さんからの相談】自分からは勉強しないけど、うちの子だけでしょうか?
野球漬けで一切勉強はしなかったけれど、部活引退後にはやる気になって猛然と勉強して京大に行った!なんて話になっていないことに注意を払ってください。
やる気があっても追いつけない理由は明確です
毎日30分の勉強を真剣にするとして、
1週間で合計3.5時間です。わずかな時間です。6日間勉強しない子供が追いつくために
日曜日にまとめてやるとすれば
3.5時間勉強すれば
追いつける計算になります。単純にね。
朝9時から12時半までか、昼の1時から4時半まで。夜するなら6時から9時半までです。できそうだ!
1週目はそれで追いつけるかもしれないですね。2週目もなんとかなるかも・・・
でも、3週目、4週目はどうでしょうか。4週目まではもたないというのがストロング宮迫の考えです。
毎日30分勉強できない子供が1週間で1日とはいえ3.5時間勉強するのはかなり大変です。ましてやそれを続けるのは困難といえます。
やったとしても、ダラダラしたり、いい加減にしたり、机に座ることが主眼の勉強になることも多い。しまいには毎日もやらないけれど、追いつくための週末のまとめ勉強もできなくなる、それが通常のコースです。
誰が歩んでもたいていはそのコースになる。意志で長時間の勉強をするのは骨が折れるのです。だからたいていは挫折する。
「オレはもっと意志を強く持たねばならない!」なんて思ってたりする。意志の問題じゃないのに・・・
だから毎日30分。
30分が無理なら15分でもイイ。
1日15分なら1週間で合計1.75時間。先の例に習って計算すると、6日間勉強しない子供が追いつくために日曜日にまとめてやるとすれば日曜日に1.75時間勉強すれば追いつける計算になります。
2時間弱、なんかこれはできそうだ!確かに!やれるかも・・・
つまり1日15分の勉強だったら、週末だけに猛追する連中に追い越される可能性はあるということです。
しかし、それが毎日30分になれば1ヶ月で振り切っちゃう。
では、毎日1時間真剣に勉強する子供なら
1週間で合計7時間。1日で7時間の勉強、
それもただ机に座っているだけじゃない
有益な勉強をするのはなかなか難しい。毎日1時間勉強なら1週間で振り切っちゃう。
15分単位の勉強でこんなに違ってくるんです。
毎日1時間真剣に勉強する子供に週末の1日の勉強7時間で対抗するのはたいていは負け戦です。
これが毎日2時間の勉強になれば、週末の1日だけでやる勉強は14時間になりますので完全にノックアウト!
「習慣の壁」とでもいいましょうか。
→ 【お母さんからの相談】勉強のコツもつかめずにもがき苦しんでいる
勉強の習慣がないと「小5の壁」は越えられない
中学受験でいえば小5の夏以降にやってくる「小5の壁」が出現するわけですが、いずれもこの「習慣の壁」をクリアできないのが最大の要因といえます。
テスト前にチャチャッとやって処理できたことができなくなる量と質になるのが「壁」だから。
ゆえにたとえ同じ成績でも、
中学受験でいえば小5の夏前までの確立された習慣がいかなるものかで勝負は決まってくるわけです。
はじまりは、今日やるべきことをキッチリできないことから始まる。
やるべきことをやっていないと、授業の内容が子供の理解の許容を越えて漏れだしてきます。最初は小さな穴だけれど、いずれそれは大きな穴になる。大きくなり過ぎると修復するのは「大事業」になります。
しかし、毎日1時間真剣に勉強できない子供が「大事業」の1日の勉強7時間はもはや不可能とならざるを得ない。決着はつきます、勉強面でね。
答えようのない相談がある
多くの勉強の相談は、
すでに「大事業」となってしまった大きな穴を
1日1時間真剣に勉強はさせられないけれど
なんとかしたいという「途方のない」
相談だったりする。
だけど、魔法はない。残念だけどないんです。
ストロング宮迫が「勉強はしていませんでした」って言うとき、それは文字通り「0」勉強のことですが、成績がイイ子の「勉強はあまりできていませんでした」は「基礎しかやっていませんでした」と同義語。
これがアホなストロングと賢い子の違いです。
天と地ほど違うんだけど「あんまりできてないんだよなあ」という言葉は同じ。言葉は同じでも言っている意味が違うんです。
「小5の壁」にぶち当たって授業の内容が子供の理解の許容を越えて漏れだしてきたとき、子供だけであれば、たいていは逃げ出します。だってできないことやるのイヤだもん!だからその穴は数ヶ月で一気に広がる。
でも、親か誰かが見張って観察していると、子供の理解の許容を越えて漏れだしたときに手が打てる。
それが親技でいう「全部しなくてもイイじゃないですか。基本だけまずはきっちりやりましょうよ」ってことです。
「例題⇒基本⇒応用⇒発展」とあるならば、最低限「例題⇒基本」だけは押さえましょうよと。「応用⇒発展」まで手を付けて、それゆえに「例題⇒基本」が疎かになるくらいなら「応用⇒発展」はひとまず切り捨てよ!と。
学校も塾もカリキュラムにのっとって進んでいるから、理解ができなくなっているから「ちょっと待って」なんて言っても止まってはくれません。継続して延々と進んでいく。
その中にいるわけだから、「ちょっと待って」といっても止まってはくれないんだから、それだったら流れに乗ったままで「例題⇒基本」については「できる!」とした上で流れていきなさい、これが親技の考え方です。
単元の「例題⇒基本」さえもできないままに流されていると漂流することになるから。
塾で毎週習う「例題⇒基本」の問題数は何問ありますか?
それは1日1時間勉強ではこなせませんか?
問題が発生したときになにもしていない「0」状態では解決の糸口さえ見つけられない。「0」はダメです。
「0」じゃない状態とは「例題⇒基本」は最低限頑張っている状態のことです。
→ 【お母さんからの相談】思うように成績が伸びず、自信を失くしてしまっている
与えられた時間は限りがあるから有効に使う
戦いにおいて、限られた資源(時間)は集中と選択によって乗り切っていくしかない。資源(時間)が限られているのにあっちこっちやってたら全部が中途半端になって全滅になっちゃうから。
毎日1時間「真剣に勉強する」のその「真剣」とは子供の態度や姿勢ややる気のことだけでなく「何を選択して集中して」時間を投入しているかという「真剣さ」も問うています。
勉強なんて世の中のことに比べたらチョロイもんです。だって何をするべきかはもうわかっていて、どうするべきかもわかっているんだから。
まあ、
そもそも毎日短時間の勉強ができないものがまとめて勉強なんてできはしない。
ということです。
よってここまで丁寧に時間を計算してきたことは話を分かりやすくするためで、本当は無意味なことなのです。だってできないもん!
そのことをこの記事から学ばなければこの記事の価値がわかったことにはなりません。
過去問は夏休みにできるわけがない
また、この部分は受験生に響くことになるでしょう。
センター試験のあとは1日9時間ぐらい勉強しました。
先輩から、先にやると「やることなくなるで」といわれて残していた赤本を・・・
入試前に「やることなくなるで」はまさに本当のことでよくわかっている先輩がいらっしゃる。まさに持つべきものは「友」ですなあ。
図書館に行ったら、夏休みに「赤本」を開いている連中がいっぱいいる。言ってあげたいですな
「今赤本やってたらやることなくなるで~」って。
第一、早くから赤本や志望校の過去問やっても、できないはずなんです。夏の段階で過去問やってできる連中はいますが、そいつらは当確のやつでごくわずか。
この時期から赤本や過去問ができるようにこれまでの勉強をしてきたかどうか。
今年もたくさんいるはずです。入試1ヶ月前になにしたらいいですか?
入試1週間前になにをしたらいいですか?という人が。
なんでも早くからやればいいってもんじゃない。時期がある。
田中投手はセンターが終わってから赤本に取り掛かった。実に王道を往く受験勉強ですな。
勉強はアウトプットが命
最後のもう1つ。
暗記は得意やと思います。コツはアウトプット。
赤いシートとペンで単語を隠しながら、文章の流れで空白を言えるようにしたり、通学路で自転車をこぎながら全部流れで言ってみる。
「コツはアウトプット」はまさに受験生には金言で、アウトプットなき勉強に成果なし!
授業のシャワーを受け続けても成果なし!
習ったり、自分で勉強したら、それをアウトプットする。そこでちゃんとアウトプットできるかどうかチェックする。できなかったら戻る。またチェック。最後はアウトプットで締めとなるのが勉強です。
田中投手が「通学路で自転車をこぎながら全部流れで言ってみる」をやったように暗記科目のアウトプットなら机に座らずに立ってでもできる。歩きながらでもできる。車に乗ってできる。
まさに親技でいう「隙間時間勉強」ですな。
受験生に時間がないのは本当だけれど「死んだ時間」「腐った時間」が山ほどあることからすれば、時間がないのは本当か?と疑っていくべきことでしょう。
そして、長時間勉強、1日10時間勉強するためには
「しんどー(しんどく)」なってきたら、暗記科目に切り替え、アウトプットしてきちんと言えたらすっきりする
しんどくなったら、科目を切り替えて気分を変えることができないと、長時間勉強は無理です。
休憩でゲームしている連中は長時間勉強はできません。理科やって疲れたからゲームで休憩ではなく、理科やって疲れたから社会で気分転換という感じでないと長時間勉強は難しい。
そろそろ決着がつく時期がやってきました。
今までやってきたことに白黒つけようじゃないか!その準備はできている!はず・・・なんですが。
Are You Ready?
→ 【親のノウハウ】親にしかできない勉強の工夫を実践。教育系の雑誌でも親技を紹介されてきました