お母さんの苦悩
この間、お母さん同士の話を耳にする機会がありました。だいたいこんな感じの話でした。
「テスト前になると、テレビを見てはいけない、ゲームはしてはいけないって怒る。」
「テストの出来が悪いと、あれはしてはいけない、これはしてはいけないってなる。」
「でも、結局
あれはダメ、これはダメの禁止令は
出せば出すほど子供のやる気が
どんどんなくなっていっているような気がする」と。
「だからといって、頑張ったら何かを買ってあげるとか、してあげるって言うのはすごいイヤ。そういうのは私はキライなの。」
「禁止令がダメで、ご褒美はイヤでってなると、もうどうしようもないのよ」と。
違うお母さんが
「そうね。なになにしてはいけない!っていう禁止令は、やっぱり子供にはダメよね、よくないわ。」
「やっぱり子供には何かを達成したら、
こんなイイことがあるっていう
誘導のほうが大切なんじゃないかしら」「達成したらイイことか・・・わかるけど、じゃあ、子供にとって『こんなにイイこと』ってどういうのがある?」
「う・・・ん、そうねえ。なにがあるかしらねえ・・・」
とまあ、だいたいこういうお話しだったんですね。
皆さんもこんなお話しをお母さん同士でしていらっしゃるんでしょうか?
親技ではご褒美は「モノ」じゃいけません!と何度も書いてきました。
「モノ」のご褒美は結局エスカレートしていくばかりで、冗談で最後は「フェラーリ」になっちゃいますよなんて書いたこともあります。
悩んでいるお母さんもご褒美で「モノ」をあげるのはイヤと言っていました。
一方のお母さんは
「何かを達成したら、こんなイイことがある」
という夢がないと子供は動かないという話を持ち出したのですが、さて
子供にとって「こんなイイこと」ってなんですか?
と問われたら、「ええっと、ええっと・・・」でイイ意見が出ませんでした。
結局、「頑張るしかないわよね」となったのか「仕方ないわよね」となったのかは定かではありませんが、皆さんはどうお考えになりますか?
ストロングは話を聞いていて、
「そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないかなあ」
と思いました。
もっとシンプルに考えようぜ!
いつも書いている通り、
ご褒美は「自由な時間」でいいんじゃないでしょうか?
子供にとって「こんなイイこと」とは、
「フリーな時間が与えられる」
ことじゃないのかと。
ええーー、そんなのでは今の子供は喜ばないって!?
そうかなあ・・・
たとえば、中学生なんかがテスト週間を経て定期テストが終わったとします。
残念なことにテストが終わった日なのに「今日は塾かよ!」なんてことが日程的にはあります。
で、しぶしぶ塾に行く。授業を受けて、
「ハイ!本日はテストを頑張った君たちにご褒美です。宿題はなし!ゆっくり身体を休めるように!」
って言うと、
「イェーーーーーイ!」
と中学生は大喜びで言います。
家庭教師で入っている家庭の子供のテストが終わって、テスト終了直後に指導に行って、やっぱり同じように
「ハイ!本日はテストを頑張ったご褒美です。宿題はなし!」
って言うと、「ワァーーーーーイ!」とやっぱり大喜びで言います。
テストで頑張ったら、ご褒美で「自由な時間」。
時代は変われども、少なくともこの20年、中学生はもとより小学生でも「自由な時間」のご褒美は例外なくみな大喜びしてきました。
だから、「子供にとって何かイイことってなんだろう?」って難しく考えずに「フリー」にしてあげたらいいのにと思う。
それほど「フリーな時間」というのは子供にとっては魅力的なものだと私は認識しています。それがまた次への頑張りにもつながるし。
→ 【親のノウハウ】親にしかできない勉強の工夫を実践。教育系の雑誌でも親技を紹介されてきました
周りを見渡すと、システムとして拷問に近いなあとストロング宮迫が思うものがあります。
拷問に近いシステム
例えば、中学入試向けの塾なんかで、日曜日の午前中にテストがあるとしますよね。
午前中のテストに続いて、
「ハイ、午後からはテスト直しと解説です」
とか
「引き続きご飯を食べたら特別講座です!」
とかやっているところがある。
この前、そのテストがあった日の夜の8時頃、電車に塾帰りの子供たちが乗ってきたのを見て「あ~あ、この子ら、朝からテストして今帰りなんだなあ」とグッタリした子供たちを見て気の毒に思った。
あれはキツイと思いますよ。
だって、子供たちはテストに向けて1週間ごとのテストであろうと、1ヶ月単位のテストであろうと、全力で頑張ってきた。その上に、テストでは精魂傾けて3時間近く向き合ったわけです。
子供たちにとっては血みどろの闘いだったわけです。テスト前夜の追い込み勉強からテストでもうヘロヘロだと思うんです。
それなのに
「ハイ、午後からは・・・・」なんて・・・
私だったら、グレますね、絶対に。
頑張ったご褒美が「テストの解説授業」や「特別講座」なんて!
だから、あれは拷問に近いんじゃないかなあと思うわけです。
次にまた頑張らせるためにご褒美はある
もし自分の子供だったら、テストが終わったら
おい、帰ってこい。休め休め!お前、頑張ったんだろ?
明日からまた始まるんだから。午後はフリーでいこうぜ!
と言う。
子供は言うでしょう。
「いやあ、さぼるわけにはいかないよ。皆も受けるし」とか。真面目ですよね、子供は。
でもさあ、お前、昼からも午前中と同じくらい頑張れるのか?
精一杯テストに向けて頑張ってテストですべて出したんだろ?
そこからもう1回全力で走るなんて無理だろ?
できるんならいいけどさあ
「ううん、まあでも頑張るしかな・・・いよねえ」と子供。
「いいよ、もうさぼっちゃえよ。映画行こうぜ!」とかね。
もし、授業があるのにこんなことを大人に言われたら、子供ってどんな反応をすると思いますか?
死ぬほど喜びます!!!
時間的にもカリキュラム的にも午後からすべてフリーとはならなくても、夜に一定時間は勉強をするとしても、テスト終了後から5時間くらいは完全にフリーにしてやったほうが、夜も頑張れるっていうもんじゃないでしょうか。
現に子供たちは、映画見て、ラーメン食わせたら、その夜のテストの見直し、頑張るもん!
どうですか?
フリーな時間が喜びになるのは厳しい掟があるから
ただそもそもご褒美が「自由な時間」で大喜びとなるのは、普段があまり自由じゃないからご褒美になり得るわけです。
塾の生徒や家庭教師の生徒が「宿題なし!」で大喜びなのは、いつもキッチリ宿題が出て、その宿題をキッチリ確認されて、やっていないとかできていなければ延長戦で余分にやらされるという日々の生活があるから、フリーに価値があり、「ご褒美」になる。
中学生の子供が「フリーです!」で涙ぐむというのは、普段が全然フリーじゃないからでしょう。
そうして考えてみると、ご褒美が「自由な時間」で満足となるためには、
テスト週間になると、テレビを見てはいけない、ゲームはしてはいけないって怒る!
これではダメってことですよね。
普段からちゃんとテレビもゲームの抑制された状態でこそ、フリーに意味が出てくるわけですから。
普段からまったく見るな!とか
するな!ではなく、
制約がある状態という意味です。
普段はテレビもゲームもやり放題で、「今日はフリーです!」って言われてもうれしくないですもの。
それに普段野放図にやりたい放題で、テスト週間になったら、変身!というのはかなり高度な技です。
ケジメをつけて、きれいに分けて考えられるのは「成績がイイ子」といえます。
成績がイマイチであれば、なおさら「テスト週間だから変身!」とならなくてもいいような普段の生活が問われる。
現在でも、中学受験にかかわらず、高校受験だって、子供たちには、ご褒美が「自由な時間」は十分通用します。
もしそれが魅力的なモノにあなたのお子さんに映らないとすれば、それは普段の生活に大きな問題が潜んでいると言えるんじゃないでしょうか?
→ 【お母さんからの相談】親が何かしてやれることはないだろうか?
あっ、そうそう、テスト終了後に「フリー」を獲得して涙ぐんでご褒美を堪能した子供たちも、翌日以降から始まるテスト返却、次回のテストに向けて再び絞られる生活が再び始まりますのよ。
お気の毒にねえ・・・
きっと夜に見る夢は「フリーな時間」なんだろうなあ。