中学受験の親の悩みQ&A
中学受験をめざす親のみなさんから届く報告、悩み、相談は年間1,000を超えます。ストロング宮迫が答えたものをまとめてみました。

夏期講習を受けても成績は上がりません

いよいよ夏休みですねえ。もう毎年言っていることなのですが、夏休みに成果を出すためには

今頑張る!ことが大切です。

夏休みに入ってから「さあやるぞ!」ではだいたい周回遅れになる。

夏休みに大いに成果を出すぞって思っている方は

今(夏休み前)こそ頑張るべき時期です。

なんでも助走っていうのがあります。車だって自転車だって走り出す時は大きな力が必要です。回転数は少なくても大きな歯車で立ちこぎしたりとか。

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走り出したら、リズムが出て小さな歯車に切り替えても回転数が出る。スムーズな走りですよね。ブ~ン

なんでも走り出しがいちばん力がいる。それは誰でも知っているのに、この走り出しの今の時期にみんなダラけて遊んでる・・・

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夏期講習で成果が出るかどうかは夏休み前に決まっている

夏休みに入る前に、もう夏期講習で成果がないのはほぼ決定となっている方が結構いるから要注意です。

夏期講習の成果が出るかどうかは今の時期、そう夏休みに入る前の頑張りにかかってる。そこは意識してほしい。

ちょうど今は夏期講習前で塾もしばしお休みとか、しばし休憩モードが出る時期です。

これは車や自転車が止まっているのと同じ状態です。で、夏休みに入ってから、または夏期講習が始まってから漕ぎ始める。周回遅れのスタート。お盆休みで再び休憩モードで立ち止まる。またまた周回遅れ。

この夏休みに空いた高速道路を走り続ける者と渋滞した一般道をいちいち止まりながら走る者がいる。

平均時速80kmで「夏休み40日+今の時期10日」の計50日を走る者と平均時速40kmで50日走る者でその違いが出ないわけない。行き先が違う。

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平均時速40kmならまだいいほうで止まっている時間が長い子供だと平均時速が30kmになることも・・・

怖いのは成績が良くてイケイケの子供が高速道路をグイグイ走って、成績不振でヤバヤバの子供が一般道路をチンタラ走っているということ。

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この夏休みの差を埋められる時間は受験までもうやってこない・・・

夏休み以降の大逆転が稀有なのはこれが大きな理由の1つです。

夏期講習で成果が挙げられる人は驚くほど少ない・・・

何をするのか?
何を克服するのか?
なにがターゲットなのか?……etc

ただ夏期講習を受けるだけの考えていない家庭には爪の垢ほどの成果ありませんから心して臨んでくださいね。

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親が子供のそばについて勉強を見る意義

さあ、それを前提に1つ動画を見てもらいましょうか。

イチロー選手の練習風景の動画ですが親が子供のそばについて勉強を見る意義について大いに示唆を与えてくれる動画です。

4分ほどの短い動画ですから、もしあなたの役に立たないとしても実害は少ないでしょう。

時間がない人はこの動画のうち、2分30秒くらいのところから1分半だけでも見てほしい。

イチロー選手はボールを投げる練習をしながらこう言います。

「240球投げたらだいたい変な反応が出ますよね、筋肉に」

「こないだね、偶然、喋りながら投げてたんですよ、人と。そしたらこれ全部終わっちゃって」

「翌日の体の反応も悪くないんですよ」

「(疲労が)全然ないんですよ」

「こうやって意識を違うところに持っていきながら体を動かしていくと、なにかが分散されるんでしょうね」

「集中させてしまうことによって何かが分泌されなくなる。そういうことだと思うんですけど。なんとなくそう感じる」

「ウエイトトレーニングなんかでもひょっとしてそうかもしれない」

「マシーンに集中してやるよりも、たとえば極端な話、本を読みながらやるとかね。そういうことで別の何かを生み出すような気がしましたけどね」

親もそうだけど、家庭教師でそばに座って勉強を見るのでも、これとまったく同じような現象が起こります。

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イチロー選手の言葉を借りれば、親がそばにつくことで「集中」はしているんだけど「意識が分散」されて疲れない。

普段よりももっと勉強量をこなせたりもする。

一人では勉強が「5」しかできない子供が
そばにつく人がいると同じ時間で「7」できたり、
時間は短くなっているのにもかかわらず「7」できたりする。

もちろん子供の体の反応も悪くない。「もっといけるよ」とか威勢のいい言葉が聞かれたり、集中もいつもよりいいとか。

勉強に関して言えば、それってメリハリがあるから疲れないんだと思うんです。

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親が子供のそばにつくのはメリハリをつけるため

たとえば、問題をやる、答え合わせ、間違ったものを解きなおす、答え合わせ、解説熟読、再度解き直し・・・

この単調な、しかしやるべきサイクルはたとえるなら一直線の道です。

しかし、これに合いの手(愛の手とボクは言いたいです)を手を入れる人がいて、

「6番と8番不正解よ、できる寸前だからもう1回見てみて」とか
「全問正解だけど時間はかかり過ぎ」とか
気づきや指摘を入れることで、

意識が次に向かうと単調なサイクルに

始まり・終わり・始まり・終わり

というリズムが出てメリハリがつけやすくなる。

「愛の手」を入れる人がそばにいることで一直線の道のりにちょっとした段差やカーブをつけてやって事故防止するって感じでしょうか。

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高速道路にカーブ構造を作るワケ

高速道路催眠現象 Wikipedia

高速道路に敷かれている車道外側線などの区画線には、通常の車道の区画線とは異なって特殊であり、区画線上を走行すると音が鳴ったり、軽い振動が起こったりと眠気防止の対策が施されている。


また、直線で建設可能な地形であっても、単調になることを避けるためにあえてカーブ構造にする場合もある。

日本で最初に開通した名神高速道路では平地部が多いこともあり、単調な長い直線部分が多く、この催眠現象を誘発しやすいとの検証で・・・・クロソイド曲線を多用する設計の指針ともなった。

イチロー選手の「喋りながら練習」
子供の勉強中の合いの手(愛の手)

いずれも効率を上げ疲労を少なくする

という意味では全く同じ現象だとボクは思います。

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親が勉強を教えてはいけない理由

親技でわからない問題があれば、親は教えないで「解答解説を見て写して答えを見て考える」という過程を入れることを推奨していますが、親が教えるというのは勉強する者のリズムでなくなるからです。

さらに教える親が下手でリズムがメチャクチャだと子供のやる気を失わせてしまう。親がぶち壊してる。

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子供の勉強なのに親のリズムになったらうまくはいかない。

「こんなに教えたのにどうしてわからないの?」とか
「何度もやったのにどうしてできないの?」

勉強する子供のリズムが狂っていることで起きるのではないでしょうかね。

勉強する者のリズムをそばにいる者がつけてやって
「始まり・終わり・始まり・終わり」
メリハリをつけてやるという役割に徹すれば、
イチロー選手が言う
「集中と分散」「疲労の軽減」
これがひいては効率の上昇、大きな成果にも結び付くのではないか。

子供の勉強を見る親に理解しておいてほしいこと

親技の親子ノリノリ勉強法で強調しているのはまさにこの点で、まずは

リズムが出やすい問題選び、
リズムが出る問題演習、
メリハリをつける親との答え合わせ、
成果を確認する「ものさし」

を推奨しています。

その結果が「よっしゃー!」のハイタッチなどにつながっていく。

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でも、ノリ勉であろうが、そうでなかろうが、子供のそばに座る親が勉強中に愛の手ではない、自分のリズムや感覚で勉強を進めると子供は嫌がり、成果は上がらずになります。

合の手とは「愛の手」のこと

合の手を愛の手とボクが言い換えたのは、相手のリズムに合わせるためには「愛」がいるからです。

「オレのリズムについて来い!」はカンタンです。
子供に合わせろっていうことですから。

そうじゃない、今の子供のリズムに合わせてやる。
そのリズムは成長すれば早くも刻めるようになるし、連打もできるようになる。
そうなるためにはまずは子供のリズムでやって

「なんか今日は3時間やったのに疲れない。まだできそう!」

が先でしょう。

「もうちょっとできるよ、オレ」

「すごいじゃない、まだできるの? でもね、今日の成果はきちんと出したからあとはご褒美の自由の時間よ」

子供のほうから押させて、親が「あえて」押し返す。そんな風になればしめたもの。

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多くは親は右に引っ張ってるのに、子供はものすごい勢いで左に走ってる。綱引きはしんどいばかりで良くて引き分けですからね。

子供に親を押させないとね。そのためには「愛の手」をいれてやることです。一直線の道は単調で眠くなりやすいのですから。

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