中学受験の親の悩みQ&A
中学受験をめざす親のみなさんから届く報告、悩み、相談は年間1,000を超えます。ストロング宮迫が答えたものをまとめてみました。
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なんでもビシッとは決めないほうがいいんじゃない

中学入試の場合、学校説明会やオープンスクールは受験学年ではなく、小4や小5の時に行く人が多いでしょう。文化祭や体育祭しかりですね。

親からすれば、少しでも憧れのあの中学校を見てモチベーションを上げてくれればという淡い期待もあることでしょう。

まあ、でも学校の説明聞いても、見学しても、正直言ってその中学校のことはわかんないんじゃないでしょうかね。

兄弟姉妹でもいればわかるけれど、外から見ても中のことはわからないと思うんだけど・・・

まあ、意識の問題ですな、学校見学や説明会は。

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そりゃあ、目標がイメージできて、先の姿が想像できる子供のほうが、目標がなくてイメージできない子供よりモチベーションは高いしね。

勝負っていうのは、やっぱり時間をかけてしっかり準備して臨んだ者のほうが勝率は高くなる。準備には日々の勉強の積み重ねもあるけれど、それがどういう形になるのかを少しでも見せてやると、日々の勉強の積み重ねに今まで以上に意義が加わるかも。

【お母さんからの相談】勉強のやる気がない!受験をやめさせるべきだろうか?

オープンスクールはある意味では自分たちが能動的に参加するもので、意識を高く持ってそうしたものに積極的に参加するってことの重要性は認めます。ただ自分の思いだけでなにかを獲りに行くってことは、ある面で自分の視野を狭くし、自分の可能性を狭めることにもなりはしまいかとも思えるんです。

読売新聞にこんな記事が出ていました。大学の話だけど、参考になると思います。

AO入試合格者、6人に1人が退学
読売新聞 2014年7月9日

主に学ぶ意欲をみるAO(アドミッション・オフィス)入試で合格した学生のうち、6人に1人にあたる15・5%が退学していたことが、読売新聞の「大学の実力 教育力向上の取り組み」調査でわかった。

入試方法別で最も高い退学率で、一般入試の5・9%が最も低かった。入試方法別の退学率が明らかになったのは初めて。

AO入試は本来、学力試験で測れない意欲や能力を重視する試験だが、早ければ入学の半年以上前に合格が決まることなどで学習意欲を失わせているとの指摘があり、見直しを迫られる大学も出そうだ。

「自分は何を学びたいのか」を出発点に受験生自身の 「問題意識」 や 「テーマ」 を持って臨むのがAO入試。それゆえAO入試は意識が高い受験生が自分に関心があるものにある程度特化して合格を勝ち取る側面があります。

18歳の子供がそんな意識を持って臨めるなんてすばらしいと思う反面、18歳の時点で考えられることなんてどれほどの意味があるんだろうという問いもあっていいのではないでしょうかね。

ましてや中学受験をする12歳の頃に考えることなんて・・・

そうしたことが「AO入試合格者6人に1人が退学」につながっているのかどうかわかりませんが、自分が関心を持っていることなんて、たいしたことなくて、深さもなく、これからどう変わっていくかはわからない。変わっていいし、自分だけの力でなく、他人とのつながりや縁の中で気づいたり、化学反応をおこしたりすることもあるのではないか。

そのことを実にうまくいってくれている文章がここでも何度か紹介している河合隼雄著『大人になることのむずかしさ』の中にあります。

とてもすばらしいので紹介します。

読者から「文庫本も出ていますよ」とお知らせいただいたので今回は文庫本のリンクを貼っておきます。

河合隼雄著『大人になることのむずかしさ』

職業の選択や配偶者の選択においては、思いがけない偶然性が伴うときがある。

職業や配偶者は、その人にとっての人生の一大事であるのに、偶然によって決めるなど、まったく馬鹿げているように思われるが、実際には、その結果が上々であることも少なくないのである。

友人の見合いについて行って、その相手に気にいられて幸福な結婚をした人、買物に行った店の主人から仕事を手伝わないかといわれ、それから、だんだんと成功していった人、などなど考え出すといくらでもいるものである。

これとは逆に、大きくなったら「××」になるといい、ひたすらそれに向けて努力して来ながら、実際には不成功に終っている人もある。

このことは、人生の不思議さといってしまえばそれまでだが、職業や配偶者の選択のような、あまりにも重大なことになると、人間の意志や思考のみに頼っていては、あまりよい結果をもたらさないことを示しているのかも知れない。

絶対にこれをやり抜くとか、どう考えてもこれが一番よいとか、あまりにも生真面目な態度をもつときは、野球における打者の「肩に力がはいっている」状態や、投手が「考えすぎると、かえって打たれる」状態に似てくるのであろう。

深い必然性をもったものほど、人間の目には一見偶然に見えるといってもよく、そのような偶然を生かしてゆく心の余裕をもつことが、職業選択の場合にも必要であろう。

もっとも、偶然を生かすことと、偶然に振り回されることは、似て非なるものであることは、いうまでもないことである。

一所懸命に行為してゆくにしろ、どこかに偶然がはいりこんでくるゆとりを残しておくことは、大人であるための条件のひとつといっていいだろう。

受験生でも「遊び」は大事です。ここでの「遊び」は遊びに行く意味ではないですよ。

ブレーキだって「遊び」がないと、ちょっと踏んだだけでガクンとなる。逆に「遊び」が過ぎれば、いくらブレーキを踏んでも効かず、とっさの動作に間に合わない。

勉強における「遊び」を親技では「時間を計る」「タイムを競う」「正答率を出す」「先生役になって教える」「うんちくを垂れる」「できるできないを選択させる」などとして勉強の中に極力取り入れるようにしています。

これらは全部「生真面目」な勉強における「遊び」の要素です。「遊び」がないと1日10時間もやってられませんからね。

【お母さんからの相談】思うように成績が伸びず、自信を失くしてしまっている

天然で抜けているお母さんがすごくいいのはこの河合隼雄先生の文章を読めばよくわかるでしょう。バランスです。底なしバケツみたいに抜けまくっているお母さんは問題はありますけどね。

一所懸命に行為してゆくにしろ、どこかに偶然がはいりこんでくるゆとりを残しておくことは、大人であるための条件のひとつといっていいだろう。

オープンスクールに出遅れた人は、その出遅れたことによってドタバタして見失わず、なにかが入り込んでくる「ゆとり」だけは残しておきましょう。嘆いても、泣きわめいても、パニックに陥っても、事態はそれをする前と変わらないのですから。

なにかが「どこかに偶然がはいりこんでくるゆとり」をあなたは持っているかどうか。これまでしてきた重大な人生の一大事での決断を思い起こして考えてみてください。

ここで私の奇天烈な文章を読んでいるよりよほどタメになる本です。ぜひ手に取ってみてください。

河合隼雄著『大人になることのむずかしさ』
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