中学受験の親の悩みQ&A
中学受験をめざす親のみなさんから届く報告、悩み、相談は年間1,000を超えます。ストロング宮迫が答えたものをまとめてみました。
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国語の入試で使われる文章には理由がある

全国で細々とですが上映された「鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言」という映画が公開を終えました。この映画は。「法隆寺の宮大工棟梁」「寺院建築の技術を後世に伝える最後の宮大工」などと称された西岡常一さんのドキュメンタリー映画です。

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西岡常一さんは宮大工棟梁ですが、書かれた文章が数多く国語の入試問題で使われているので知っている方も多いでしょう。

よく使われているのは「法隆寺を支えた木」「木に学べ―法隆寺・薬師寺の美」なんかですね。

数々の金言を遺した西岡常一棟梁

千年の檜には千年のいのちがあります。建てるからには建物のいのちを第一に考えなければならんわけです。

風雪に耐えて建つ ー それが建築の本来の姿やないですか。木は大自然が育てたいのちです。千年も千五百年も山で生き続けてきた、そのいのちを建物に生かす。それがわたしたら宮大工の務めです。

木は生育の方位のままに使え

これは映画でも出てくる話ですが、西岡さんはこんなふうにおっしゃっています。

「木のいのち木のこころ―天・地・人」より

昔の宮大工とこれからの大工の一番の違いといいましたらまずは木の選び方ということでしょうな。

口伝に「堂塔建立の用材は木を買わず山を買え」というのがあります。飛鳥や白鳳の建築は、棟梁が山に入って木を自分で選定してくるんです。

それと「木は生育の方位のままに使え」というのがあります。山の南側の木は細いが強い、北側の木は太いけれども柔らかい、陰で育った木は弱いというように、生育の場所によって木にも性質があるんですな。山で木を見ながら、これはこういう木やからあそこに使おう、これは右に捻れているから左捻れのあの木と組み合わせたらいい、というようなことを見わけるんですな。

これは棟梁の大事な仕事でした。

「木は生育の方位のままに使え」という話は親が子供を見る際にぜひ取り入れたい格言ですよね。

ただ「堂塔建立の用材は木を買わず山を買え」を実行しようにも、薬師寺の復興工事の際には、

日本での用材調達が困難となり、樹齢千年以上の檜を求めて台湾に行くことになる。日本の国土の65%を占める森林の、1つの寺さえ作ることができないほどの荒廃した姿、自然に寄り添うことを忘れた私たちの日常が露になってくる。

そんなことも映画では出てきます。

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癖のない素直な木は弱い

西岡さんの言葉は大工ではない私たちにとっても痛いところを突くものばかり。

これなんかも耳が痛くなりますよね。

(木の)癖というのはなにも悪いもんやない、使い方なんです。

癖のあるものを使うのはやっかいなもんですけど、うまく使ったらそのほうがいいということもありますのや。人間と同じですわ。癖の強いやつほど命も強いという感じですな。癖のない素直な木は弱い。力も弱いし、耐用年数も短いですな。

ほんとなら個性を見抜いて使ってやるほうが強いし長持ちするんですが、個性を大事にするよりも平均化してしまったほうが仕事はずっと早い。性格を見抜く力もいらん。そんな訓練せんでもすむ。それなら昨日始めた大工でもいいわけですわ。


そして逆にこんどは使いやすい木を求めてくるんですな。曲がった木はいらん。捻じれた木はいらん。使えないですからな。そうすると自然と使える木というのが少なくなってきますな。それで使えない木は悪い木や、必要のない木やというて捨ててしまいますな。これでは資源がいくらあっても足りなくなりますわ。



依頼主が早よう、安うといいますやろ。あと二割ほどかけたら二百年持ちまっせと言うても、その二割を惜しむ。その二割引いた値段で「うちは結構です」というんですな。二百年持たなくても結構ですっていうんですな。千年の木は材にしても千年持つんです。百年やったら百年は少なくとも持つ。それを持たんでいいというんですな。

ものを長く持たせる、長く生かすということを忘れてしまっているんですな。昔はおじいさんが家を建てたらそのとき木を植えましたな。
この家は二百年もつやろ、いま木を植えておいたら二百年後に家を建てるときに、ちょうどいいやろといいましてな。二百年、三百年という時間の感覚がありましたのや。今の人にそんな時間の感覚がありますかいな。もう目先のことばっかり、少しでも早く、でっしゃろ。

それでいて「森を大事に、自然を大切に」ですものな。木は本来きちんと使い、きちんと植えさえすれば、ずっと使える資源なんでっせ。
鉄や石油のように掘って使ってしまったらなくなるというもんやないんです。植えた木が育つまで持たせる、使い捨てにしないという考えが、ほんのこのあいだまでありました・・・・

国語の入試問題に出る理由がわりますよね?

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現代のボクらはもう完全に壊れている・・・と思います。

【親のノウハウ】中学受験は親の受験。親が変われば、子供も変わります。

でも、外国に行かなくても、飛鳥や白鳳の時代には確かにそれがあった。いや、そこまで遡らなくても、つい「ほんのこのあいだまで」は確かにあったもの。

それだけを少しだけ大事にすれば・・・

西岡常一さん、これからも長く語り継いで行きたい方です。

映画「鬼に訊け -宮大工 西岡常一の遺言」は親の方にも子供にもぜひ見ていただきたいですが、もともとあった「社寺建築講座」を編集したものらしく、いきなり見ると、専門用語など、ややわかりにく点があります。

なので、ぜひ西岡さんの本を1冊読んだ後に見たほうが感じるものがあると思います。

西岡常一さんの本

「法隆寺を支えた木」

「木に学べ―法隆寺・薬師寺の美」

「木のいのち木のこころ―天・地・人」

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